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旅日記

優しい味のラーメンに、猫の細道。尾道を散步していたら温かい気持ちになった

こんにちは。あやこはむくむくと元気になってきた。

暦の上では夏。

「もう寒いのは御免被りたい!」そういう勝手なことを考えていると、夏が来た。たいへん喜ばしいことである。

2年前の5月5日、つまり立夏の日。わたしは独身貴族を引責辞任し、結婚と言う棘道に歩を進めた。しかしこれは立夏に因んだのではない。

「ゴーゴー!って覚えやすいよな。」
「確かに覚えやすい。」

短絡的なのである。

ゴールデンウィークは広島へ

主人は広島の出身である。

ゴールデンウィークのような何やら輝かしい週間ともなると、広島を訪れるのがわたしたち夫婦始まって以来のナラワシである。

他にも、どちらかが「大きな声で!」と言うと「ひっろしまー!」と反射的に言ってしまうというナラワシがあることには誰も興味を示さないであろう。当然のことだ。

今回は、尾道を巡ってきた。

まずは尾道らーめんを求める

尾道といえばラーメン。西日本の人間なら常識の範疇であろう。

が、世間はゴールデンウィーク。有名店はどこもかしこも長蛇の列を抱え、多忙の空気をそこら中に振りまいている。

「並んでまで食べて美味しいものはない。」

これは、並んだ時間の分だけ美味しさへの期待が高まってしまい、そのハードルを超えられる食べ物などこの世に存在しないという、2人に共通する理念である。

そこで尾道らーめんはアッサリと諦め、麺屋さんに行くことにした。
もう一度言う。尾道にある麺屋さん(尾道らーめんではない)に行くことにした。

ここ麺処みやちは、尾道の商店街にこのような奇々怪々な看板を掲げて佇む、昭和のかほりが留まることを知らない、カウンター僅か12席のお店である。鋭い読者なら写真右のほうに少々の列が出来ていることにお気付きかもしれない。

「15分ほどの待ち時間なら、美味しさが期待のハードルを超える可能性もある。」

とあやこは言い訳をしていたらしい。理念とは、時にふにゃふにゃになる。

店内に入り、早速名物のてんぷら中華並(630円)を注文すると、「すっごい熱いから気をつけて食べてねー、ゆっくりでええからねー。」と、とんでもなく高いコミュ力を持ったおばちゃんがらーめんを運んできてくれる。

 

わたしには失われた透明感……!

そもそもわたしには透明感があったことすら疑わしいが、この美しいスープには感動すら覚えた。

口にした瞬間、手先足先にまで優しい味が染み渡り、穏やかな気持ちになる。尾道らーめんのようなこってり系ではなく、うどんの出汁が混ざったような優しい味。かきあげの油がまた、いい仕事をしている。

「美味しいなあ。」「まことに美味しいなあ。」と、猫舌も忘れてあっという間に平らげた。

魅惑的な名前の「猫の細道」へ!

わたしは猫舌ではあるが、猫を愛してやまないという厳然たる事実も、ここに示しておかなければならない。

「猫の細道」というものがあるらしいと聞いて、行かない選択肢はない。長い階段を昇る苦労をもいとわず、主人の猫アレルギーも無視しながら、猫の細道へ向かった。

どうやらここが入り口らしい。どんな可愛い猫に出会えるのだろうか・・・。

 

さっそく、何やら猫のような猫ではないようなものに出会った。

「あなたは猫なのですか?」
「あら不躾な。先にあなたが名乗るべき。」
「失礼しました。わたくしあやこと申します。」
「冗談。あたしは福石猫。仲間がたくさんいるから探しながらゆっくりしていってね。」
「ありがとうございます。」

 

なんて徳の高いお顔!

 

屋根に乗っちゃうなんてお転婆な子もいる!

 

「気になる部分を薬指で撫でるがよろしい。」

 

どうやら多くの人が頭を気にしているらしい。頭皮的な面なのか脳的な面なのかは定かでないが、わたしは少々弱い自分の脳の心配をしながら頭を撫でた。なむなむ!

主人が肛門のあたりを撫でていたことは、本人の名誉のために伏せておいたほうがいいのだろうか。(書いてるーーー!)

このように、猫の細道には様々な福石猫様が点在しているのである。聞くところによると、これらは尾道に住む作家さんが20年近く作り続けたもので、1000個以上もの子たちが猫の細道を中心とする尾道市内に置かれているのだとか。この少子化が深刻な時代に頭の下がる思いである。

不思議なことに、この子たちを見つけて頭を撫でると、お腹の底からふわふわと幸せな気持ちになる。みやちのスープからの福石猫様、ほっこりが止まらない。

端午の節句にちなんでいるのか、鯉のぼりも気持ちよく泳いでいる。こういう世界観が堪らなく好きなわたしは、時間も何もかも忘れてシャッターを切り続けた。ああ楽しい。

 

ちなみに毛深いほうの猫は2匹しか見なかった。かわいいなあ。

尾道の町を一望できる場所も

猫の細道の近くにある千光寺へ続く道からは、尾道市内を一望できる。

晴れすぎぃぃ!きもちいーーーー!

語彙力がないのでどれくらい気持ちよかったのか伝えることができない。写真から読み取っていただければ幸いである。

今更だが尾道とは、広島の東部にある瀬戸内海にほど近い港町である。

「え?これ川じゃないの?」と思ったそれは瀬戸内海である。
「え?あれ四国?」と思ったそれは向島という島である。

瀬戸内海には700以上の島があるらしいが、その中でも広島県尾道市から愛媛県今治市の間にある比較的大きな島々には、しまなみ海道という「サイクリストの聖地」のような道が通っていて、向島はしまなみ海道のひとつ目の島にあたる。

次に訪れるときは、レンタサイクルでしまなみ海道をひた走るのも悪くない。

ただし体力と気力が許せば。(多分一生しない)

まとめ

大好きな海と、可愛い世界と、美味しいご飯。ほんっっとに癒された1日だった。

そんなゴールデンウィークが終わって東京に戻った日、人身事故によるダイヤの乱れが発生していた。

「人身事故」という穏やかでない言葉を聞いても涼しい顔をして歩く人たち。自分のことばかり考えて「いつ再開するのか」と駅員に詰め寄る人たち。

ああ、尾道のような時間の流れがわたしには合っているんやなあと感じた。

観光客で賑わう尾道だが、他の地方同様、空家問題が深刻だそうで、NPO法人が再生に力を挙げているとのこと。ものすごく安くで広い家が手に入るようだ。

「尾道に移住する」

また新たな野望が。すぐにあらゆることに影響されてしまうところがわたしの愛すべきところでもある。

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