こんにちは、カズヤです。みなさんはこの世界にブラックホールというものが存在することは知っていますよね?
そう、あまりにも強い引力が働くために光でさえ脱出することができないという、恐怖の暗黒空間です。
世間一般にはブラックホールは宇宙にあるとされていますが、なんと僕は長野県の下諏訪町で見つけてしまいました。
その名は「マスヤゲストハウス」。
あまりの居心地の良さに帰巣本能を無力化された宿泊客が次々と延泊を決意する、一度泊まったらなかなか抜け出せないブラックホールのようなゲストハウスです。
はたしてどんなゲストハウスなのか? その引力の秘密はどこにあるのか? じっくり紹介していきましょう。
築100年以上の旅館を改装したゲストハウス
マスヤゲストハウスがあるのは長野県の下諏訪町。県内最大の湖である諏訪湖や、日本最古の神社とも言われる諏訪大社があるほか、230円で入れる公衆温泉浴場が名物です。
最寄り駅はJR下諏訪駅で、特急列車に乗れば新宿駅から2時間30分、名古屋駅からは2時間15分と、東日本からも西日本からもまずまずのアクセス。
その下諏訪駅から5分ほど歩くと、レトロなレンガ塀に囲まれたマスヤゲストハウスに到着します。
玄関を抜けてまず目にするのがこの廊下。明治時代の地図に載っているほどの老舗である「ますや旅館」を改装した館内には、100年以上の歴史を持つ建物ならではの風合いが漂います。
僕が泊まったのはこちらの男女混合ドミトリー。夜寝るときにはいつのまにか湯たんぽが入っていて、ちょっぴり感動しました。
こちらは女性専用ドミトリーです。鏡台があるので、男性の目を気にせずお化粧ができますね!
ドミトリー以外にも和風の個室や、
ダブルベッドの個室もあります。この部屋は朝日がいちばんいい角度で入ってくるそうですよ!
渋い緑色が目を引くこの空間はキッチン。シンクまわりがタイル張りで、レトロな雰囲気が出ていました。
トイレは石造りの壁がかっこいい!
そしてここがゲストの集まるリビング。中央のレンガはペチカというロシア式の暖炉です。このレンガが絶妙なあたたかさに保たれていて、へばり付いているとめっちゃ気持ちいいんですよ!
リビングの奥にあるバーカウンターは夜7時から営業していて、近所の人も飲みに来ます。
いかがでしょうか? 築100年以上だという建物の味わいを生かしながらも、今っぽいお洒落な空間になっていますよね!
ちなみにこれは、チェックインの案内時に見せられたイラスト。唐突にカツサンドの絵を見せてきたのかと思いきや、シーツの使い方を示した図でした。
そのゆる〜いイラストの作者は、マスヤのオーナーであるキョンちゃん。キョン画伯の作品は館内のあちこちでゲストの心を和ませてくれます。
夕飯は近所のおばちゃんが作ってくれました
夕暮れどきに館内をうろちょろしていると、女の人がキッチンで料理を作り始めました。
ゲストだと思って話しかけてみたら近所のおばちゃんで、よくマスヤにやってきてはスタッフたちの晩ご飯を作っているのだそうな。今はゲストが魚屋で買ってきた金目鯛を煮付けにしてくれているところでした。
しばらくすると、その金目鯛をはじめ鹿児島から来たゲストが差し入れてくれたさつま揚げなども登場し、スタッフもゲストも一緒になって食卓を囲みます。僕もちゃっかりお相伴にあずかることができました!
いや、地元の人が遊びに来るゲストハウスなら結構あるけれど、ご飯まで作ってくれる人がいるなんて聞いたことがないですよ!
ほどなくしてご飯を作ってくれたおばちゃんは家へ帰っていきましたが、そのときに「おやすみなさい!」「またねー!」などとフランクに言葉を交わすみんなが家族みたいに見えて、なんだか気持ちがほっこりしちゃいます。
ちなみにこちらの女子たちはこの日チェックアウトの予定だったのですが、まだ帰りたくないといってもう一泊延長したそうです。恐るべしマスヤの引力!
そんなこんなで、その後もコタツを囲んでまったり飲み続けて楽しい夜を過ごしました。
女の子に「カズヤさんは放送禁止レベルのハゲ。」って言われたけど、たぶん楽しかったです。
下諏訪名物の温泉を楽しもう
さて、きのうは観光をしないでずっとマスヤにいたので、今日は下諏訪名物の温泉を楽しんでから東京に帰ろうと思います。
スタッフに温泉について聞いてみると、数ヶ所ある浴場それぞれに「ここのお風呂は42℃、ここは44℃」といってお湯の温度まで近隣マップに書き込んでくれました。詳しいな!
下諏訪の温泉公衆浴場はすべて230円と爆安なので、温泉めぐりも気軽にできちゃいます。
今回は露天風呂付きというところが気に入って旦過の湯(たんがのゆ)に来ましたが、施設もきれいで大満足。おすすめですよ!
浴場には石鹸やシャンプーがないので持参する必要がありますが、マスヤがお風呂セットを無料で貸してくれるので心配無用。温泉街のゲストハウスならではの嬉しいサービスですね!
温泉以外にも諏訪大社、諏訪湖、慈雲寺などに立ち寄りながら、ぶらぶら街歩きを楽しみました。
そして延泊へ
ひとしきり下諏訪観光を満喫したころには夕暮れが近づいていたので、あとはマスヤに預けている荷物を回収して東京に帰るだけとなりました。さらば下諏訪!
……となるはずが、マスヤに戻ってスタッフに「おかえりー!」と言われた瞬間、そんなに急いで帰らなくてもいいやという気分になり、とりあえずコタツに入って帰りの電車を何本か見送ることにしました。
今にして思えば、チェックアウトの時間をとっくに過ぎている僕をリビングでだらだらさせてくれるマスヤの雰囲気がいけないのです。まるで久々に帰った実家のように「あんたの気が済むまでゆっくりしていけばいいのよ。」と言わんばかりの優しさに包まれたなら、出ていく気も失せてしまうじゃないですか……。
そうこうしているうちに、誰が言い出したのかタコ焼きパーティーがスタートし、それを聞きつけた近所の人たちも集まり始め、にぎやかになってきました!
だったらもう終電ギリギリまで楽しんでいこうと気持ちを切り替え、タコ焼きを頬張りながら焼酎を飲み始める僕。
しかし終電の時間が近づくにつれ、みんなとお別れをする寂しさが募っていきます。きのう延泊した女子たちの気持ちも今ならよくわかります。まじで帰りたくない。
そしたらスタッフが「カズヤさん今日どうするの?まだベッド空いてるよ?」なんて言ってくるもんだから、その瞬間に勝負ありですよ。
「泊まります!」といって、僕は下諏訪のブラックホールに吸い込まれていったのでした。
何はともあれ、最高に楽しいひとときでした!
さいごに:引力の正体とは
まんまと延泊してしまったマスヤゲストハウスでしたが、その引力の正体は何だったのでしょうか。僕なりに考えてみたところ、家みたいな場所だから、という結論に至りました。
夕飯を作ってくれたおばちゃんとの関係がそうであったように、まずマスヤスタッフと近所の人たちが家族のような距離感で接していて、その「家族の輪」にゲストも自然と溶け込めるんです。
さらに、宿を出入りするたびにみんなが「いってらっしゃい」「おかえり」と声をかけてくれるんですよね。するとこっちも「いってきます」「ただいま」と返すので、それを繰り返すうちにマスヤが自分の家みたいに思えてきてしまうんです。
ひとたび家だと思ってしまえば、ずっといたくなるのは当然のこと。だって自分の家なんだし、それはもはや旅先ではなく、帰ってくる場所なんだから。
みなさんもぜひ下諏訪に行って、マスヤゲストハウスをもうひとつの家にしてみてくださいね!