こんにちは。ASUKA GUEST HOUSE管理人のShoです。
アスカゲストハウスはまだオープンして1年ほどなのですが、3月の末ごろから初めてヘルパーさんを採用しました。トモエさんという、ニュージーランド在住の日本人女性です。
今回は、そのトモエさんが書いてくれた日記をお届けします。旅に対する想いから始まり、当ゲストハウスの様子はもちろん、ゲストハウスのヘルパーとはどんな仕事なのかということを書いてくれています。
ゲストハウスで働くことに興味がある人には、ぜひ読んでいただきたいです。
きっかけは「そうだ、長い旅に出よう」
その土地の文化や、歴史、自然に興味があっての旅では、ひとところに落ち着いてじっくりその土地柄を満喫するのがいい。特に博物館やトレッキングコースなどは、それ1カ所で1日が潰れてしまうことがよくある。
それに見どころの豊富な観光地や歴史遺産の豊かな土地は、1泊や2泊ではとても足りない。いつも時間切れのため予定をこなせず、悔しい思いをして家に帰ることがしばしば。
「観光名所に来て、見て、ダッシュで回った」という旅行はもう飽き飽きとはいえ、長期の宿代はなかなか貯められるものじゃない。
そこで、節約しながらゆっくりと旅をする人向けの宿「ゲストハウス」の出番だ。
欧米では「バックパッカーズ」とか「ホステル」と言っていた気がするけど、日本ではゲストハウスと呼ぶらしい。
ドミトリーに素泊まりが基本で、食料の持ち込みOK、共用台所完備なゲストハウスは長期滞在には最適。そしてお目当てのゲストハウスがヘルパー募集していたら、数週間にわたる宿代も浮く。賄い付きなら食費も節約できる。
いつもは宿泊客として利用するばかりの私だったけど、1ヶ月近い滞在になりそうな今回は、旅費をさらに節約するためにヘルパーとして長期滞在できそうなゲストハウスを探してみた。
憧れの地にあるゲストハウスに行き着く
10代のころから飛鳥時代が好きだった。
高松塚古墳壁画や石舞台で有名な明日香村は特に、ここ20年で遺跡や史跡の研究と保全整備、そして復元された遺物の展示が進んだという。
そのど真ん中に新しいゲストハウスができたと知って、ヘルパー募集に飛びついたのが2月の中旬。胸をわくわくさせて橿原神宮前駅に着いたのが翌月弥生の19日夜だった。
橿原から飛鳥を巡回する最終バスは出てしまっていたので、マネージャーのショウさんに迎えに来てもらう。
日本最古の大仏・飛鳥大仏を有する、日本で最初に建築された寺院である飛鳥寺(法興寺)を背にした、古民家を改造したアスカゲストハウス。
古都保存法によって風致地区に指定されている明日香村の景観に溶け込んだゲストハウスは、そこが宿だと知らなければうっかり通り過ぎてしまいそうな謙虚な佇まいだ。
だが、日が暮れてから無灯の田園地帯を抜け、ほとんどの家の門灯が消えた飛鳥の暗く狭い住宅地を通ったあとは、旅人を招く宿の灯りはことさら明るく温かく感じる。
中に入って驚いたのは、純日本風の建築と内装はそのまま生かしながら、キッチンやシャワー、トイレなどの水回りは真新しく、清潔で使いやすいことだった。シャワーの水圧と温度の快適さは、旅に疲れた体をあっという間に癒してくれた。
アスカゲストハウスでは、古代黒米入りご飯の夕食も1食1000円で予約を受け付けていて、シェフも兼ねたショウさんの鶏料理は絶品。
ドミトリーの寝具はふかふかの掛布団、マットレスはちょうどよい柔らかさで、ベッドは適度な広さ。ほかのゲストハウスで体験したようなお尻や腰の痛みもなく、気持ち良い朝を迎えることができた。
ヘルパーとして始動し、快適な設備に驚く
第1日目に、お手伝いする業務について説明を受ける。
なんと私が記念すべきヘルパー第1号ということで、何を手伝うのかもまだはっきりとは決まっていなかったらしい。ということは、私があんまり頑張りすぎると、次にヘルパーする人の仕事が増えてしまうということか。
なるべく「宿泊+賄い≒時給換算(自分比)」以上のことは、でしゃばらないように気を付けよう。
とりあえず、朝の掃除から。
お客さんがお発ちになるまで特にすることもなく。ゆっくりと起きて、まったりと朝ごはんを食べたのち、ショウさんに掃除の手順の説明を受ける。
水回りが最新式で、とても掃除がしやすい。シャワールームの壁も床も、そしてトイレも磨けば磨くほどピカピカに光るし、時間をかけられないときはざっくりと水を拭き取るだけでもきれいになる。
古い宿や安宿にありがちな、水切れが悪く、汚れがとりにくい・水やぬめりが溜まりやすいという掃除人泣かせの構造でないのがありがたい。
毎日洗剤を使って磨き上げたり、隙間の水分を隅々まで吸い取る必要がない構造と材質のシャワー室は本当に助かる。
シャワーの快適さといい掃除のし易さといい、増築改装の設計をした御仁は世界中のバックパッカーズやホステルを回って、客のニーズや働く立場の効率性の、双方の利便を研究したんだろうなぁと感心した。
そして驚きのルンバ部隊(といっても2台)が、和室12畳のリビングやドミトリーのベッド下などの掃除を支援してくれる。
午前中には清掃業務終了。午後は自由行動。通りの突き当たり奥にある、飛鳥坐神社(あすかにいますじんじゃ)に「1ヶ月お世話になります」と、土地の神様にご挨拶のお参りをすませた。
後半へ続く。