こんにちは、あきらです。京都人はみんな腹黒いと思っている神戸人です。
いきなり腹黒いなどと失礼なことを言ってみたものの、同じ関西人でありながら京都のことはあまり知らなかったりします。ということで、京都をもっと知るために旅行をしてみることにしました。
しかし、その土地のことを知りたいならガイドブックを眺めているだけではだめです。そこで暮らしている人たちと交流し、観光客が来ないような場所に行ってみる。そうすることではじめて、街の本当の姿が見えてくるのです。
なので今回は完全にノープランで、京都の人々におすすめスポットを教えてもらいながら観光してみます。はたしてどんな場所にたどり着くのでしょうか?
旅の情報収集は大衆酒場で
さっそくですが、本当にノープランで来たので行くあてがありません。最初の目的地くらいは決めておけばよかったかなと思いながら、とりあえず昼から飲むことにしました。居酒屋は地元の情報を集めるのにうってつけなのです。
やってきたのは新京極商店街にある「京極スタンド」。京都に来たらぜひとも立ち寄りたい、歴史ある大衆酒場です。
僕はこういう「吉田類の酒場放浪記」に出てきそうなお店が大好きです。
メニューにはカレーライスや定食もあるのでお酒が飲めない人でも安心。昼間はお酒を飲む人と食事だけの人が半々くらいでした。
京都といえばやっぱり鱧!
さっぱりした梅肉がお酒とも合います。大衆酒場は地元の名物も安く楽しめますね。
伝票は忙しい従業員が見やすいようにデザインされているようですが、僕にはまったく解読できません。これでいくらなのでしょうか。
向かいに座っていた老夫婦が「よかったら食べてや」と芋の煮びたしを分けてくれました。薄味の出汁ですが、芋の奥まで味がしみて美味しかったです。京都らしい渋い仕事を感じられる料理でした。
大衆居酒屋は隣のお客さんとの距離が近く、すぐに仲良くなれます。とくに関西では関東よりも知らない人によく話しかけられます。慣れないと戸惑いますが、慣れてしまえば居心地がいいもの。この老夫婦ともすぐに打ち解けました。さっそく近所のおすすめスポットを聞いてみたところ、二条の周辺がいいのではないかということ。
これで目的地が決定しました!
住宅街にいきなり現れる茶室のようなカフェ
ということで二条のあたりを歩いてみると、気になるお店を見つけました。カフェでしょうか。
京都は商業地・工業地・住宅地と明確な区切りがあまりなく、住宅街の裏路地にお店があったりするのでつくづく気が抜けません。街全体が迷宮のようで散歩がとても楽しく、このようなお店を見つけるとテンションが上がります!
外観は廃屋っぽい(失礼)ですが、中はとても清潔で、きれいなカウンターがあります。
コーヒーは丁寧に豆から挽いて出してくれました。カフェでありながら茶室のような落ち着いた雰囲気があり、一杯のコーヒーから筋の通った京都の仕事を感じさせてくれます。
店主に「なにかおもしろいお店はないか?」と尋ねてみたところ、島原にある「きんせ旅館」というカフェバーを教えてくれました。旅館なのにカフェバーと称する謎加減に心惹かれます。空間がとても素敵なのだとか。
夜は「きんせ旅館」に行ってみることにしましょう!
息をのむほど立派な建物のカフェバー「きんせ旅館」
日が暮れてから「きんせ旅館」にやってきました。昼にも前を通っていた場所なのですが、看板が出ていなかったので気付きませんでした。
扉を開けてみると、レトロモダンな内装が迎えてくれました。あまりにも立派な雰囲気に、次の扉を開くのにちょっと勇気がいり、心臓がドキドキしました。
中は予想以上に広い空間でした。昔のダンスホールでしょうか?
小説の世界に迷い込んでしまったような非日常感を覚えます。
先ほどの広いホールの隣の部屋にバーカウンターがありました。バーテンダーが静かに席をすすめてくれます。
バーテンダーに話を聞いてみると、この建物は元々「揚屋(あげや)」だったそうです。揚屋とは遊女を呼んで遊ぶ場所で、「お茶屋」のような存在だけど、それよりも格上なんだとか。今風に言うと、ホステスを呼んで合コンするお店ですね。その後、一般旅館や書道教室などを経て現在のカフェバーになったそうです。
以前はカフェバー営業だけの「泊まれない旅館」だったのですが、現在は1日1組限定で宿泊も受け入れているそうです。ホテルのスイートルームのように利用できるので、泊まれば贅沢な京都滞在が実現しそうですね! なんとも個性的なお店でした。
異彩を放つゲストハウス「パンとサーカス」に宿泊
「京都人に聞くおすすめスポットツアー」は「きんせ旅館」にて終わりですが、今夜の宿もなかなかの個性派。「パンとサーカス」という、京都の数あるゲストハウスの中でも突出して変な宿です。
京都の中心地である五条にあり、京阪の清水五条駅から徒歩5分とアクセスは良好。
宿の中は西洋アンティーク家具が所狭しと置かれた異空間。ここが京都であることを一瞬忘れてしまいます。
しかしながら建物自体は質屋をリノベーションした町屋なので、よく見ると京都の伝統的な和が感じられます。西洋アンティークと京都の町屋は、ともに古いせいか違和感なく融合しており、落ち着きすら感じます。
共有スペースには絵画がたくさん飾られていて、画家が住んでいるのではないかと思ってしまいそうです。
宿のバーで今日のできごとを話してみる
「きんせ旅館」をあとにし、夜の10時頃に「パンとサーカス」に帰ってきました。
「パンとサーカス」は夜8時~12時までバーとしてにぎわいます。雰囲気のいい隠れ家的なお店みたいですね。
ニューヨークの地ビール・ブルックリンラガーがありました。旅先で見つけた珍しいお酒を飲むのもいい思い出となるので、とりあえず頼みます。飲みやすい味でした。
今日のことをバーのスタッフに話してみると、「きんせ旅館」の店主の奥さんは京都で有名な美人だという新たな情報が手に入りました。旅人にはあまり関係のない話ですが、地元の噂話を聞くとその土地に住んだ気分になれて楽しいです。
ちなみに、そのあとに会った京都人もみんな口をそろえて「あそこの奥さんは美人」と言っていました。いったいどれほどの美人なのでしょうか。妄想が膨らみますが、確かめるすべもないので、膨らんだままにしておくしかありません。
ひとつだけ謎が残ってしまいましたが、これにて京都旅行はおしまいです。
さいごに
翌朝、泊まっていた人たちに昨日の体験をシェアしたところ、みんな興味深く聞いてくれました。ゲストハウスには、他の旅人と情報交換をして新たな目的地ができるという素晴らしい流れがあります。観光というのは「見る」ことを重視しがちですが、「聞く」ことや「話す」ことも旅の楽しみだと思います。
京都に行った際は「一見さんお断り」を恐れず、思い切って地元の店に飛び込んでみてはいかがでしょうか? 観光地とはちがった京都が楽しめますよ!