こんにちは、カズヤです。いきなりですが、みなさんはYogiboというビーズソファを知っていますか?
これ、「快適すぎて動けなくなる魔法のソファ」をキャッチフレーズに掲げている製品なのですが、巷では「人をダメにするソファ」とも呼ばれています。
居心地が良すぎて動く気力がなくなり、何もできないダメ人間になってしまうということですね。
それを「人をダメにするソファ」と呼ぶならば、僕からも「人をダメにするゲストハウス」として紹介したい宿があります。沖縄県の那覇市にあるゲストハウス「月光荘」です。
今回は2泊3日の滞在だったのですが、月光荘の居心地があまりに良かったため、観光らしい観光もせずにほとんどの時間を宿で過ごしてしまいました。
そんな月光荘とは一体どんなゲストハウスなのか、さっそくお伝えしていきたいと思います。
怪しい路地裏にある、怪しいゲストハウス
月光荘があるのは美栄橋駅から徒歩3分の、国際通りや牧志公設市場に近い繁華街。
聞くところによると築70年近い古民家を使っているそうなのですが、そんな古い家屋があるような街並みには見えません。
どこにあるのかとキョロキョロしていると、道端のオレンジ色の看板に「月光荘」の文字を発見! その横から続く路地の奥にあるのでしょうか。月光荘に用がなければ絶対に通らない、というか気付きもしないであろう細い小路です。
その路地裏に入ってまず目に飛び込んできたのは、大量に積み上がったゴミの山。壁には「オートバイ止メルナ!」とありますが、カタカナ書きなところに呪詛のような不穏さを覚えます。怖いです。
さらに奥にはバラック小屋のような古い建物が並んでいて、表の大通りとはうってかわって不気味なほど静か。カタコトの日本語を操る国籍不明の男が謎の粉やら葉っぱやらを売っていそうな雰囲気です。
路地に入ってから怪しいものしか見ていませんが、この先で待ち構えているであろう月光荘もやっぱり怪しいのでしょうか……?
と思いながら到着した月光荘がこちら。
うん、怪しいなこれ。
古民家と聞いていたので伝統的な趣のある建物を想像していたのですが、ここは文字通りの古い家。オブラート5枚くらいに包めば「味がある」とも言えますが、直球で表現すれば「ボロい」です。
ものすごい偏見ですが、こういう場所に集まるのって変な人ばかりなイメージなので、僕みたいなふつうの人が泊まっても平気か不安です。
と思いきや、カウンターでは爽やかな青年がチェックインの対応をしてくれました。ぜんぜん変な人じゃなかった!
まあでも建物の外観がアレですからね、内部もボロかったりするのではないかと恐る恐る奥へ進んでみると……、
おっ?
もしかしてこれは……、
すごくいい雰囲気だ!
やはり多少のガタがきている部分もありますが、それも含めて古い建物ならではの素敵な風合いとなり、なんとも良い雰囲気が漂っていました。
ただシャワーやトイレ、洗面所などの水回りは結構ワイルドで、清潔感は期待しないほうがいいです。
ちなみに月光荘の入口はもうひとつあって、そちらも大通りから続く怪しげな小路の奥にあります。
その先にあるのがこの光景ですからね。これぞ秘密基地といったロケーションで、ここにいるだけでワクワクしちゃいます!
怪しいとかボロいとか連発してしまいましたが、めちゃくちゃ素敵な空間でした!
夜は「ゆんたく」を楽しもう
さて、ゲストハウスでの楽しみといえば夜の団らんですが、それはもちろん月光荘でも同じ。お酒やおつまみを提供している月光荘のリビングは宿泊客でなくても利用できるので、毎晩のように近所の人たちが飲みに集まります。
沖縄の言葉ではこういう団らんやおしゃべりのことを「ゆんたく」と言い、居間やリビングのことをゆんたく部屋とか言ったりします。
月光荘のゆんたく部屋は22時に閉まるのですが、それ以降は月光荘に併設された居酒屋「つきのわ」で引き続き飲めます。泡盛1杯が300円とかなので呑んべえも安心!
それで調子に乗って飲みすぎたのか、つきのわに移動してからの記憶がほとんどなく、誰と何を話したのかぜんぜん覚えていません。
いつもならば宿泊レポートを書くためにたくさん写真撮ったり興味深い話をメモったりしておくのですが、この日は記憶も記録もろくに残っていません。
きっと面倒くさくなったんでしょうね、そんなのいいから飲もう、楽しもうって。まったくダメなライターです。
昼から泡盛が飲み放題!
そして次の日。つきのわでは朝7〜11時に朝食が食べられるのですが、すっかりダメライターになった僕は朝食レポートなどする気もなく、10時過ぎにベッドから這い出ました。
で、11時からゆんたく部屋で泡盛を飲み始めました。
なんだこいつアル中かよと思われるかもしれませんが、違うんです。月光荘には「泡盛まんたんプラン」という、1000円で午前11時〜夜10時まで泡盛が飲み放題になるサービスがあるんですよ。
最長11時間も泡盛が飲み放題なんていうコスパ最強のサービスですから、これはもうアル中であろうとなかろうと1000円払っちゃいますよね?
本当なら今日はあちこちの市場を巡って食べ歩きをする予定だったんですけど、それはまた今度にします。
そんな僕と一緒に昼から飲んでいたのがこのおっちゃん。缶チューハイを数本飲んだ後にまんたんプランを始めて、「そっか、最初からまんたんにしとけばチューハイ無駄にしないで済んだのか……。」とぼやいていました。
いい人だけど、なんかダメな人だなと思いました。
二夜連続で記憶をなくす
そうこうしているうちに夜になり、ゆんたく部屋がにぎやかになってきます。
宿泊客もスタッフも近隣住民も分け隔てなく接するので、スタッフだと思っていた人が近所の人だったり、近所の人だと思っていた人が宿泊客だったりします。
今でこそ多くのゲストハウスが「旅人と地元の人との交流」を謳い文句にしていますが、15年以上前から営業している月光荘こそがその元祖なのかもしれませんね。
この夜は数人と連れ立って近くの飲み屋に行ったのですが、またしても記憶が欠落していて、翌朝カメラに残ったこの写真を見て「そういえばみんなで飲みに行ったんだっけ。」と思い出しました。
なおチェックアウトのときは、「そんなに急がないでさ、ちょっと飲んでいきなよ。」というスタッフに乗せられ、ちょっとじゃない量のビールを帰りの飛行機に乗る2時間前まで飲んでいましたとさ。
人をダメにするゲストハウスでした
今回の沖縄旅行、予定では首里城に行ったり市場で海鮮食べ歩きをしたりするつもりだったのですが、結局どれもしませんでした。
なんでかって、月光荘で過ごす時間が楽しくて、もう観光とかしなくていいかなって思っちゃったからです(あと昼から泡盛が飲み放題だからです)。
Yogiboのビーズソファから動けなくなった人たちのように、僕もまた月光荘から出ていく気をなくしたわけですね。
でも今回のように宿で過ごす時間を存分に楽しむのだって、ゲストハウスの味わい方のひとつです。それこそが、寝るだけの場所として使うビジネスホテルやカプセルホテルにはない魅力なのですから!
とくに月光荘は、もはや沖縄に来る目的にしてもいいくらい楽しいゲストハウスなので、わいわい賑やかなゲストハウスが好きな人にはおすすめですよ!